リクルーティングアドバイザーのあなたはこんな悩みを抱えていませんか?
内定通知書を扱うときに気を付けるポイントってある?
内定通知書って、法的にはどんな決まりがある?
具体的に内定通知書には何が書いてあればベストなの?
次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます
- リクルーティングアドバイザー経験5年以上
- 現役転職エージェント管理職
- リクルーティングアドバイザーに対するコンプライアンス研修講師の経験
採用に慣れていない採用担当者から、次のような質問を受けることもありますよね?
求職者に内定を伝えたいんだけど、どうしたらいい?
このアバウトな質問に、法的根拠を含めて回答できますか?
さらに、採用戦略上ベストな方法も説明できますか?
正直ちょっと、不安だな…
そう感じたあなたは、この記事を最後まで読んでみてください。
この記事を最後まで読むと、成約確率を高める内定通知書の内容と法的背景が分かります。
内定通知書を扱うときに人材紹介営業が気を付けるべき5つのポイント【3ステップで解説】
気を付けるべきポイントは、次の3ステップ・5項目。
3ステップとは、内定通知書の「受領前→受領時→受領後」です。
それぞれ解説していきます。
【ステップ①】内定通知書の受領前
内定通知書の発行前のステップで重要なのは、採用担当者へ次の2つの情報を共有すること。
- 求職者の希望条件
- 競合他社のオファー条件
なぜなら、採用担当者が2つの情報を知っておくことで、有利な内定オファーができるから。
競合他社のオファー条件とは、求職者が他に受けている内定条件のことです。
ここで、あなたは次のような疑問を感じませんか?
求職者の希望条件なんて、初回の面談で確認できているでしょ?
【答え】求職者の志向は常に揺れ動くので、何度も確認しましょう。
「確認できているから大丈夫」なんて油断は禁物です。
具体的には、次の5段階で対応していきます。
- 採用担当者に想定される内定条件を事前確認
- キャリアアドバイザーから求職者へ2つの情報を確認(仮クロージング)
- ②の情報を採用担当者に伝える
- 採用担当者と条件交渉を行う
- 内定通知書の発行
ちょっと文字が多くてわかりづらいですね。
図解します。
ここでのポイント③情報の伝達は、必ず⑤内定通知書発行前だということ。
なぜなら、発行後だと条件交渉の成功確率が下がるから。
クライアントの社内では、次のような様々な調整や手続きを経て内定通知書が出てきます。
- 社内給与テーブルとの調整
- 配属予定部署内での調整
- 社内稟議
- 文書押印
これらの過程を経て、やっと内定通知書が出た後に条件交渉を行っても、意味がありません。
一度決定された条件は、相当な事情がない限り覆りにくい。
シンプルに言えば、社内調整がめんどくさいから再調整はされないということ。
採用担当者の気持ちとしては、次の通り。
おいおい、ならもっと早く言ってよ…
【ステップ②】内定通知書の受領時
内定通知書の受領時における確認ポイントは次の3つ。
- 表記チェック
- コンプライアンスチェック
- 内定理由の確認
特に効果が大きいのは「内定理由の確認」部分です。
クライアントから受け取った内定通知書をキャリアアドバイザーに”そのまま転送”していませんか?
少し確認の手間をかけることで、成約率アップの効果が得られます。
私は、求職者の「志望順位3位→逆転成約」なんてことを何度も経験しています。
それぞれ解説していきます。
【確認ポイント①】表記チェック
キャリアアドバイザーに内定通知書を渡す前に、必ず誤字脱字のチェックを行いましょう。
その理由は、求職者の志望意欲を下げないため。
内定通知書の中に誤字脱字があると、求人企業に対する信頼性が下がります。
特に「氏名の表記間違い」は致命的。
誤字脱字があると、求職者は次のように感じる。
重要な書類にミスがあるなんて、適当な会社なのかな…
私に対する採用意欲って、そんなもんなのかな…
こんな気持ちになった求職者をアフターフォローするくらいなら、事前に表記チェックしておきましょう。
その他にも、よくある間違いの一例としては、次の通り。
- 西暦・年号の間違い
- 理論年収のズレ(月収合計+賞与と理論年収とのズレ)
【確認ポイント②】コンプライアンスチェック
内定通知書には、労働条件通知書に記載が義務付けられている項目が盛り込まれているかチェックしましょう。
具体的には次の9項目。
- 労働契約の期間
- 就業場所
- 業務内容
- 始業・終業時刻
- 残業の有無
- 休憩時間
- 休日・休暇
- 賃金の計算方法・締日支払日
- 解雇事由を含む、退職に関する事項
なぜなら、内定通知書と労働条件通知書の内容が違うと入社辞退される危険があるから。
つまり、入社前の手続きのため内定先企業を訪れた求職者が次のような状態になる、ということ。
聞いていた条件と違うんだけど!
相違が起こる一例を挙げると、次の通り。
- 面接時:「残業はない」と言われた
- 内定通知書:残業に関する記載なし
- 労働条件通知書:残業「有」となっている
労働条件通知書は厚生労働省HPに雛形があります。
様々な雛形がありますが「常用、有期雇用型」を利用するケースがほとんど。
厚生労働省の雛形を事前に企業に渡し、次のように伝えるとスムーズです。
これに準拠した内定通知書を発行してください
【確認ポイント③】内定理由の確認
ここが最重要です。
次の5つの内定理由を確認し、求職者に伝える準備をしましょう。
- 評価したポイント
- 課題と感じたポイント
- 成長イメージ
- キャリアイメージ
- 一緒に実現したいこと
5つの内定理由は”内定理由書”という形の書面でもらえればベストです。
内容としては”なぜあなたに内定を出したのか”を説明する書面。
つまり「当社にぜひ来てほしい!」という感情の入ったラブレター。
なぜ内定理由が必要なのかというと、内定承諾率が上がるから。
条件面ではなく、感情面を重視する求職者には特に響く。
さらに、内定理由書をオファー面談の場で説明できればベスト。
口頭でも口説くことで、さらに内定承諾率は高くなる。
内定承諾率の高い順に並べると、次の通り。
- 内定理由書あり+オファー面談あり(両方)
- 内定理由書なし+オファー面談あり(口頭説明のみ)
- 内定理由書あり+オファー面談なし(書面説明のみ)
- 内定理由書なし+オファー面談なし(内定通知書のみ)
内定理由書がない場合(一番下のパターン)は、採用担当者に内定理由を確認し、フォローしましょう。
【ステップ③】なる早で求職者に送る
最終面接後、求職者の手元に内定通知書が届く時間を短くすることが重要。
なぜなら、スピードによって”高い採用熱”を伝えることで内定承諾率を上げられるから。
一方で、ネガティブな側面もある。
それは、あまりに早すぎると求職者に次のような疑念を持たせてしまうこと。
「誰でもいいから採用したい」ってことなんじゃないの?
この疑念を払しょくするためには、前述した”内定理由”が役立つ。
質とスピードの両方を追求することで、より高い成果が期待できる。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
内定理由の確認とスピード、どっちを優先した方がいいの?
【答え】求職者の志望度によります。
つまり、次の通り。
- 志望度が高い:スピードを優先
- 志望度が高くない:内定理由の確認を優先
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
後だしジャンケンの方が有利なんじゃないの?
【答え】それは条件交渉ができるときだけ。
条件交渉ができる採用担当者であれば、次のような調整をして後出しジャンケンができる。
- 他社よりも内定条件が悪い→交渉して有利な条件で提示
- 他社と内定条件が同じ→求職者の志望度次第で調整
- 他社よりも内定条件が良い→そのまま提示
条件交渉ができないのであれば、後出しジャンケンは「スピードが遅い」というデメリットしかない。
条件交渉ができるかどうかは事前に把握しておきましょう。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
内定通知書って、法的にはどう規定されてるの?
内定通知書は法的な発行義務はない【ただし人材紹介会社的には発行マスト】
求人企業として内定通知書は、法的に発行義務はない。
なぜなら、労働条件の明示タイミングは”労働契約に際して”(労働基準法第15条1項)と規定されているから。
多くの場合、労働契約は入社時にされる。
そうなると「労働条件が入社時まで明示されない」という状況が起こり得る。
一方で、求職者としては次のように考えます。
労働条件を確認した上で、入社意思を決めたい
人材紹介営業としては、次のように考えます。
労働条件が未確定な状態で入社調整を行うのはリスクが高い…
ここに、法律と実務との間で大きなギャップができます。
時系列で図解をすると次の通り。
なので、実務的には内定通知書を発行するのがベスト。
ただ、間違えてはいけないのは法律で定められている書類ではない、ということ。
次のように言ったらアウトです。
内定通知書は法律で義務付けられています
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
法律で規定されているもの以外にも、内定通知書に書いておいた方がいい項目ってある?
内定通知書に記載した方がいい7項目【人材紹介営業が口説くのに必要な情報】
法律で定められた労働条件明示の項目以外で、書いておいた方がいい項目は次の7つ。
- 昇給
- 賞与・インセンティブ
- 試用期間
- 各種保険
- 福利厚生
- 書類作成日
- 内定承諾期限
その理由は、求職者が入社意思を決定するのに役立つから。
具体的な理由は、次の2つ。
- 働くイメージが明確になる(①~⑤)
- 入社意思決定がスムーズになる(⑥・⑦)
①~⑤は求職者の雇用や待遇に直結する内容。
この項目があることで、就業イメージや生活イメージがより鮮明となる。
⑥・⑦は、期限に関する情報。
期限があることで、求職者の明確な意思確認ができる。
求人企業側にも2つのメリットがある。
- 内定辞退になってしまった場合、すぐに採用活動を再開できる
- 書類作成日が最終面接日と近い場合、採用熱量を訴求できる
採用熱量とは「あなたを迷いなく採用したい!」という採用意思の表れ。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
求職者が希望する就業条件に満たない場合は、あまり書かない方がいい?
【答え】書いた上で、オファー面談で補足説明がベスト
なぜなら、入社意思決定の要素は”就業条件”が優先するとは限らないから。
”社風”や”業務内容”などの定性的な内容を優先する求職者も一定数いる。
そういった場合、まず就業条件を明示し、オファー面談で説明する。
条件面で劣っていても、それを上回る魅力を明確に伝えた方が入社承諾率は上がる。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
クライアントの内定通知書フォーマットに、項目が不足している場合はどうしたらいい?
【答え】求職者の入社意思決定軸を伝えた上で、最低限の加筆をしてもらう
確かに、あれもこれも「加筆してください」と依頼するのは、実務上現実的ではない。
法的に発行義務のある書面でない以上、次のような採用担当者のリアクションはよくある。
うちはこのやり方なので…
ただ、求職者の入社意思決定に必要な情報なのであれば、採用担当者も対応せざるを得ない。
なぜなら、入社意思決定をしてもらうことが内定通知書発行の大きな目的だから。
なので、次のように依頼をしていきましょう。
○○さん(求職者)が入社意思決定に重視している情報となりますので、●●の部分だけは加筆をお願いします。
まとめ:人材紹介営業はチェックポイントを押さえ”口説く内定通知書”を作り込もう
あらためて、今日の結論を整理します。
内定通知書の確認ポイントは、次の3ステップ・5項目。
求人企業としては内定通知書は、法的に発行義務はない。
ただし、実務的には内定通知書の発行を受けることがマスト。
法律で定められた労働条件明示項目以外で、書いておいた方がいい項目は次の7つ。
- 昇給
- 賞与・インセンティブ
- 試用期間
- 各種保険
- 福利厚生
- 書類作成日
- 内定承諾期限
ここまで読んでくれたあなたは、ベストな内定通知書のイメージがついたのではないでしょうか?
そうなると、次のように思いませんか?
内定段階でリクルーティングアドバイザーがやるべきことも気になる…
そんなあなたは、こちらを参考にしてください。
リクルーティングアドバイザー業務全体の復習もしておきたい
そんなあなたは、こちらを参考にしてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。