人材紹介に興味を持っているあなたには、こんな悩みがありませんか?
人材紹介のマーケットシェアってどれくらい?
今後のマーケットシェア動向ってどうなっていく?
今後、どんな人材紹介会社がマーケットシェアを拡大していく?
次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます。
- 現役の転職エージェント管理職
- マーケット分析を担当
- 事業戦略策定を担当
マーケットシェアって、どうやって解釈すればいいか分かりづらいですよね?
”シェア〇%”というデータを見ても「イマイチピンとこない」なんてことありますよね?
この記事ではマーケット分析を担当する私が、あなたの疑問に答えきます。
人材紹介マーケットシェアは5.1%【中規模企業シェアが最も高い】
転職者数全体に対して、人材紹介経由で入社した人の割合は5.1%。
(厚生労働省「雇用動向調査」より)
具体的には、次の通り。
- 広告:2764.4千人(全体の32.7%)
- 縁故:2066.9千人(全体の24.5%)
- 職業安定所:1201.6千人(全体の14.2%)
- ハローワークインターネットサービス:296.8千人(全体の3.5%)
- 学校:547.9千人(全体の6.5%)
- 民営職業安定所:430.9千人(全体の5.1%)
- 出向:143.8千人(全体の1.7%)
- その他:912.3千人(全体の10.8%)
求人広告経由の転職が最も多く、次いで縁故での転職が多い。
主な転職経路の年別推移は、次の通り。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
転職する会社規模によっても経路って違うんじゃないの?
【答え】違う。
組織規模が小さくなるほど、職業安定所と縁故のシェアが大きくなる。
組織規模が大きくなるほど、広告のシェアが大きくなる。
人材紹介については、中規模組織のシェアが最も大きい。
具体的には、100~999人規模の組織。
次のような疑問も感じますよね?
今後人材紹介のマーケットシェアは、どうなっていく?
人材紹介マーケットシェアは拡大トレンド【ただし3つの懸念あり】
人材紹介経由の転職者数増加に併せて、マーケットシェアも拡大をしている。
- 直近5年で1.8%増(単年度換算:0.36%増)
- 直近10年で3.1%増(単年度換算:0.31%増)
- 直近15年で3.5%増(単年度換算:0.23%増)
シェア拡大のペースが上がっていることが分かる。
マーケット拡大の背景には、転職者数自体の増加がある。
市場規模の動向について、詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さい。
≫【2021年最新】人材紹介業界の市場規模を徹底リサーチ|今後の市場動向も予測
ただし、マーケットシェアは拡大しながらも、懸念はある。
具体的には、次の3つ。
- コロナ禍不況の影響
- 労働人口、年齢層の問題
- アグリゲーター、人材データベース、SNSとの競合
それぞれ詳しく解説していく。
【懸念①】コロナ禍不況の影響
人材紹介業は、不況時にマイナスの影響を受ける。
なぜなら、企業の雇用動向と売上が連動するから。
例えば、2008年のリーマンショック時には大きな影響を受けた。
しかし、その後の景気の持ち直しに連動して、売上を回復している。
ただ、コロナ禍がリーマンショックと異なるのは、”天災”であるということ。
景気回復の道筋が見えないと、シェア拡大の道筋も見えてこない。
具体的には、有効求人倍率の停滞がシェア拡大の”足踏み状態”を表している。
【懸念②】 労働力人口・年齢層の問題
日本は少子高齢化社会。
この流れが今後加速していく。
この時、労働力人口・年齢層の観点から、65歳以上の割合が右肩上がりになっていく点に要着目。
なぜなら、現状人材紹介のメイン対象年齢層は30代~40代前半だから。
ここに構造的なギャップが発生している。
【懸念③】 アグリゲーター、人材データベース、SNSとの競合
人材業界には、ITによる変化の波が来ている。
変化の中身は、まず具体例を見てしまった方がイメージがわく。
- アグリゲーター→indeed
- 人材データベース→ビズリーチ
- SNS→facebook、twitter、wantedly
いずれも、求人企業にとってはダイレクトリクルーティングの一端を担う機能。
ダイレクトリクルーティングが進めば、人材紹介業シェアにマイナスの影響を与える。
また、ITによる変化は人材紹介業の求職者集客の部分にも大きな変化を与えている。
人材紹介業の集客行動に、次のような変化が生じている。
- アグリゲーター→保有求人を掲載し、求職者集客
- 人材データベース→スカウトを打って、求職者集客
- SNS→広告を出して、求職者集客
つまり、求人企業と同じ動きをし、求人企業と競合するようになったということ。
ITが人材紹介会社と求人企業との情報格差を埋めている。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
その懸念がある中で、どんな人材紹介会社が残っていくの?
マーケットシェアを拡大していく人材紹介会社4つの特徴
社会的動向やITの進化を踏まえて、生き残る人材紹介会社の特徴は次の4つ。
- コンサルティング機能の強化
- SNSの活用
- 伸びる領域を攻める
- 差別化できる領域を攻める
それぞれ詳しく説明していきます。
【特徴①】コンサルティング機能の強化
コンサルティング機能の強い人材紹介会社は残る。
なぜなら、ITによって情報が氾濫し、情報を「どのように取捨選択すべきか」の需要が上がってきているから。
対求人企業、対求職者どちらにも同じことが言える。
逆に、ITによって情報流通量が増え、表面的情報の価値は低くなってきている。
市場に出回っていない情報を収集し、より深い情報を顧客に届ける必要がある。
【特徴②】SNSの活用
SNSの活用は、人材紹介会社の求人・求職者開拓にとって必要不可欠となった。
なぜなら、ITが進化し、サービスが普及したことによって、人材紹介会社が求人者や求職者と直接つながりにくくなったから。
具体的には、ビズリーチが人材紹介会社よりも先に求職者にリーチするイメージ。
求職者により早くリーチするのには、SNSの活用が欠かせない。
SNSで自社のブランディングを行う。
自社ブランドによって、求人・求職者の集客を直接行う。
この動きができない人材紹介会社の利益率は悪化していく。
【特徴③】伸びる領域を攻める
求職者側で伸びる領域は、外国人、女性、シニアの領域。
なぜなら、国内は少子高齢化が進む一方で、外国人活用・女性活躍は進んでいるから。
求人側で伸びる領域は、介護・医療、営業、ITの領域。
なぜなら、職種シェア大きく、かつ前年対比でも増加しているから。
- 一般事務の職業:70,919件(前年対比:6.9%減)
- 介護サービスの職業:63,260件(前年対比:64.8%増)
- 看護師:56,442件(前年対比:7.7%増)
- 営業の職業:55,590件(前年対比:7.6%増)
- 情報処理・通信技術者:39,859件(前年対比:10.8%増)
- 家政婦(夫):32,501件(前年対比:2.7%減)
(厚生労働省「令和元年職業紹介事業の事業報告の集計結果」より)
今までの人材紹介の主戦場は、30代~40代前半。
広がっていくギャップをどのタイミングで調整するかがキーポイントとなる。
ただし、新たにこの領域を攻めるなら、求人者への啓蒙が欠かせない。
なぜなら、求人者としては、依然として欲しい人材層は変わらないから。
具体的には、人材活用イメージや方法を啓蒙していく。
ここでも、やはり深い情報提供が必要となる。
【特徴④】差別化できる領域を攻める
シェアを拡大するためには、差別化できる領域を選択することが重要。
なぜなら、ITの進化によって求人広告や求人企業との競業が進むから。
求人広告や求人企業との差別化がしやすい領域は、ハイキャリアや業種・職種特化。
より濃度の高く、流通度の低い情報を多く保有することで差別化ができる。
まとめ:人材紹介のマーケットシェア拡大のカギは市場動向に合わせた波乗りができるかどうか
それでは、今日の内容を振り返ります。
転職者数全体に対して、人材紹介経由で入社した人の割合は5.1%。
人材紹介経由の転職者数増加に併せて、マーケットシェアも拡大をしている。
ただし、マーケットシェアは拡大しながらも、懸念はある。
具体的には、次の3つ。
- コロナ禍不況の影響
- 労働人口、年齢層の問題
- アグリゲーター、人材データベース、SNSとの競合
社会的動向やITの進化を踏まえて、生き残る人材紹介会社の特徴は次の4つ。
- コンサルティング機能の強化
- SNSの活用
- 伸びる領域を攻める
- 差別化できる領域を攻める
ここまで記事を読んだあなたなら、人材紹介のマーケットシェアについてイメージが掴めてきたはず。
そうなると、人材紹介のマーケットサイズについても気になりますよね?
そんなあなたは、こちらの記事も参考にしてください。
≫【2021年最新】人材紹介業界の市場規模を徹底リサーチ|今後の市場動向も予測
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。