キャリアアドバイザーのあなたは、次のような悩みや疑問がありませんか?
求職者に求人情報はたくさん紹介するんだけど、情報の整理ができていない
たくさん求人紹介はするんだけど、結局求人応募に至らない
求人紹介はシステムでやっていて、「求職者に選んでもらう」受け身な形になってる
自社でもっていた求人を他社エージェントから応募されてしまう
求人マッチングって、そのうちAIに取って代わられる仕事じゃない?
次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます
求人紹介のシーンでは、もっとも「情報の渋滞」が起こりやすい。
なぜなら、3者の持っている情報を一気にまとめ上げていくシーンだから。
- 求職者
- キャリアアドバイザー
- リクルーティングアドバイザー
私も過去、「求職者と一緒に悩んでしまう」という悲劇を何度も経験しました。
具体的には、求人を紹介した後のこんなやりとりです。
さて…どうしましょっか…
はい…どうしましょう…
求人紹介の際に、重要となるのが「情報の整理」です。
求職者を迷わせないよう、キャリアアドバイザーであるあなたが情報の交通整理を行いましょう。
この記事を最後まで読むと、精度が高くかつ漏れのない求人紹介をするための全体像が理解できます。
キャリアアドバイザーがマストでやるべき求人紹介の流れ5ステップ
求人紹介の流れ5ステップとは、次の通りです。
- 【ステップ①】応募条件の整理
- 【ステップ②】客観的情報の収集
- 【ステップ③】求人整理
- 【ステップ④】求人紹介
- 【ステップ⑤】追加求人紹介
えっ?求人紹介の前に3つもステップがあるの?
と思いますよね。
そうなんです。
求人紹介においては、この事前準備がとても大事です。
ただ…説明のボリュームが多くなるので、読むのが大変かと思います…
頑張って読んでみてくださいね。
以下に、詳しい内容を解説していきます。
【ステップ①】応募条件の整理
面談の後、いきなり求人紹介なんてしていないですよね?
まずやるべきことは応募条件の整理です。
整理する条件は、大きく分けると次の3つです。
- 【整理①】優先順位
- 【整理②】除外条件
- 【整理③】条件の具体化
それぞれ解説していきます。
【整理①】優先順位
まずは、面談時に7ステップでヒアリングした内容をまとめます。
特に、転職理由に直結しやすい次の項目を中心にまとめます。
- 転職理由
- 希望条件
- 将来ビジョン
ヒアリング項目って、何だっけ…?
と疑問を持った方は、こちらの記事を参考にしてください。
≫【転職エージェントの最重要業務】電話・WEB面談の流れを7ステップで解説|ヒアリングシート無料公開
求職者面談7ステップを復習しておくと以下の通りです。
- ガイダンス
- 現在のキャリア
- 転職理由
- 希望条件
- 将来ビジョン
- 過去のキャリア
- 今後の流れ
まとめた内容を、次の4カテゴリーで優先順位をつけていきます。
- キャリア(業務内容、ポジション、役職など)
- 報酬(年収、月収、インセンティブなど)
- 労働環境(残業時間、通勤時間、福利厚生など)
- 企業属性(上場・非上場・IPO準備、財務体質、社員数、売上規模など)
優先順位の付け方は、様々な希望がある中で
- 何をもっとも重視するか?
- 何は外せないのか?
を確認していく、ということです。
面談の中で希望条件を聞いてるんだから、優先順位なんて把握できてるものでしょ?
と疑問に思う方もいるかもしれません。
【答え】迷いながら質問に答えている求職者が大半だから、何度も聞きます。
面談前後でキャリアアドバイザーに伝える希望が一貫している求職者は、むしろ少ないですよね?
だから、何度も確認します。
むしろ、何度も聞くことで求職者の志向が整理されます。
さらに、ズレがあったときにはそのままにしてはいけません。
ズレた理由を確認し、求職者の目線と合わせていくことも重要です。
念のため、気の毒な補足しておきます。
キャリアアドバイザーの力量不足で求職者の回答がズレるということもあります。
具体的に言えば、次の通り。
- キャリアアドバイザーの質問の量が足りない
- キャリアアドバイザーの質問が抽象的
この場合、キャリアアドバイザーが優先順位をヒアリングをしたときに求職者から”意外な答え”が出てくる状況になります。
具体的なシーンとしては、次のような流れになります。
希望条件にあえて優先順位をつけるとしたら、いかがですか?
そうですねー、あえて優先順位をつけるとすると、1位:年収、2位:残業時間、3位:業務内容ですね。
そうなんですね!?今までのお話の流れからすると”業務内容”の方が優先度が高いのかと思っていました!
ちなみに、残業時間の方が優先度が高い理由ってどんなところにありますか?
実は、先ほどはお伝えしなかったんですが、子どもの迎えに行かなければならないので・・・業務内容を優先したいのはやまやまなんですが、そこは外せないんです。
そういうことだったんですね!
しっかりと”会話の軌道修正”をすることにより、求職者との目線を合わせていることが分かります。
【整理②】除外条件
もう一つの整理する条件内容は、除外条件になります。
なぜなら、”効率的なマッチング”を行うためとなります。
求職者に求人紹介をしたときに、こんなシーンがよくありませんか?
あなたのご希望に合う企業は、○○株式会社だと思います。応募されますか?
そこは・・・現職の部下が転職した企業なので応募するつもりはありません。
そうでしたか・・・それは失礼しました・・・。
こういった会話の時間は、お互いにとって時間の無駄です。
効率的なマッチングのために、「希望しない条件」をヒアリングしておきましょう。
ヒアリングのポイントは、オープンクエスチョンで聞くということです。
なぜなら、クローズドクエスチョンだと、二度手間が発生するからです。
具体的には、次のような会話の流れの違いが生まれます。
現職の部下や同僚の転職先で、求人紹介から外してほしいという企業はありますか?
A株式会社は、現職の部下が転職した企業なので求人紹介から外してほしいです。
A株式会社を外すと、あなたのご希望に合う企業はB株式会社だと思います。応募されてみてはいかがですか?
B株式会社は、実は前職の上司が転職した企業なので応募できないです・・・。
『これは求人紹介から外してほしい』という条件や企業は、何かありますか?
そうですね・・・A株式会社は現職の部下が、B株式会社は前職の上司が転職した企業なので求人紹介から外してほしいです。
A社とB社を外すと、あなたのご希望に合う企業はC株式会社だと思います。応募されますか?
「 C株式会社さん、いいですね!ぜひ応募したいです! 」
つまりは、抜け漏れが発生しないようにヒアリングをしましょう、ということです。
【整理③】条件の具体化
優先順位の高い条件については、具体的数値に落とし込むことが重要です。
「どういった状態が求職者の希望を満たす状態なのかを、数値で明確に定義づける」ということです。
会話のシーンで一例を挙げます。
残業が少ないことを重視しています。
分かりました。ちなみに、残業が少ないというのは、○○さん(求職者)にとって、月何時間であれば少ないと言えますか?
月20時間以内ですね。
その月20時間というのはどこから出てきている情報ですか?
現職での残業時間です。
そういうことですね。理解しました。
というような流れです。
【ステップ②】客観的情報の収集
次に、求人紹介をする”根拠情報”をリクルーティングアドバイザーから収集します。
なぜかというと、根拠情報がないと求職者が応募の意思決定ができないからです。
つまり、次のような状態。
〇〇さん(求職者)の希望に多分合っていると思いますよ
本当にそうなのかな…
具体的には、リクルーティングアドバイザーから次の2つの情報を入手します。
- 客観的事実
- 具体的数値
リクルーティングアドバイザーの業務範囲にはなりますが、求人ヒアリングした情報が採用担当者の”主観的情報”になっていないことが重要なポイントです。
具体例を挙げます。
残業時間が少ない会社が希望です。
というリクエストをもらった場合。
A株式会社は、採用担当の方が「うちは業界の中では比較的残業少ない方だよ」と言ってましたので、ご希望にマッチしていると思います。
この企業は、分業化施策を進めている成果がでていて、通常期だと月5時間、繁忙期だと月20時間が平均残業時間となっています。また、今年〇月にはアウトソースも進め、繁忙期の残業時間を10時間まで減らす方針と聞いていますので、ご希望にマッチしていると思います。
というような情報の質と量の違いが、求人応募につながるかどうかの分かれ道となります。
【ステップ③】求人整理
情報収集が完了したら、次に求人整理です。
多くの求人情報がある中、キャリアアドバイザーのあなたはどんな基準で求人整理をしていますか?
もし明確な基準がないと、求人応募を”求職者に任せている”状態になっています。
強い言い方をすると、それはキャリアアドバイザーとしての職務放棄です。
キャリアアドバイザーとしての役割を果たすため、”情報の交通整理”を行っていきましょう。
求人整理の基準設定は、具体的に次の3ステップで進めていきます。
- 【ステップ①】求職者視点で整理
- 【ステップ②】求人属性視点で整理
- 【ステップ③】採用可能性視点で整理
かみ砕いた言い方をすると、次の通り。
まずは、求職者の希望に沿った情報整理をします
↓
さらに、それを求人属性に応じて仕分けをしまする。
↓
最後に、現実的に採用をされる可能性も加味した形に情報整理をする。
各ステップの詳細を解説します。
【ステップ①】求職者視点での整理
求職者軸での整理は、次の3つの希望群に情報整理をしていきます。
- 第1希望群:条件全てを満たしている求人
- 第2希望群:一部条件を満たしている求人
- 第3希望群:大部分の条件を満たしていない求人
なぜこの情報整理が必要なのかというと、キャリアアドバイザーとの認識合わせをするため。
認識合わせをするには、求職者の「応募をする・しない」の基準を明確にします。
ただ、いきなり求職者に選ばせることはしません。
キャリアアドバイザー側で仮設定をする方と効率的です。
イメージとしては、下記の図の通り。
【ステップ②】求人属性視点での整理
次に、”第2希望群”に対して求人属性に応じた整理をします。
どんな求人属性で整理したらいいかというと、求職者にとっての”優先順位”が高い属性です。
- 業界
- 業種
- 職種
などなど。
なぜ第2希望群だけなのかというと、”応募する・しない”の判断が必要なのが第2希望群だけだから。
つまり、次のような構成になっているということです。
- 第1志望群=応募する
- 第2希望群=応募するor応募しない
- 第3希望群=応募しない
【ステップ③】採用可能性視点での整理
最後に、”第2希望群”と”第3希望群”に対して採用可能性を踏まえてアドバイスを行う準備を行います。
なぜ、第3希望群なのにアドバイスを行うのかというと、その理由は以下の3つです。
- 網羅的に求人を紹介していることを伝えるため
- あえて勧めていないことを伝えるため
- 第1・第2志望群が全て不採用となった場合に、不採用原因を明確にするため
【ステップ④】求人紹介
求人整理を終えたら、実際に求人紹介を行っていきます。
求人紹介を行うときのポイントは以下の2つです。
- 【ポイント①】応募意思の確認単位
- 【ポイント②】応募基準のギャップ確認
以下、それぞれの項目を詳しく解説していきます。
【ポイント①】応募意思の確認単位
応募意思の確認については、”個別求人ごと”ではなく、”求人属性別”に確認をしていきます。
なぜなら、個別求人ごとに応募意思を確認すると、どうしても細かいの求人条件にとらわれてしまうからです。
そういえば、昇給時期も気になる!賞与の回数も気になる!
という具合です。
重要なことは、整理した”応募条件”に該当しているかどうかです。
応募条件に焦点を当てていくため、求人属性別に応募意思確認をしていく必要があるということです。
うちは求人紹介システムを使ってるんだけど、その場合はどうしたらいい?
という疑問が浮かぶかと思います。
【答え】システムを使っている場合でも、応募条件の整理~求人紹介の流れは同じ。
確かに求人紹介システムは求職者にとって、とても便利です。
一方で、求人選びが”求職者任せ”になってしまう危険もあります。
求人選びを求職者任せにしないように、システムを一緒に見ながら応募先選定をしていく流れを作ることがベストです。
【ポイント②】応募基準のギャップ確認
応募意思確認を進めていく中で、キャリアアドバイザーであるあなたの想定と求職者の応募意思が異なる場合が出てきます。
このギャップの調整が、マッチング精度向上のためにとても重要です。
ギャップが出た理由をヒアリングし、応募基準を再調整していきましょう。
この”一緒に軌道修正をしていく”過程は、求職者との信頼関係を構築する意味においても重要です。
なぜなら、求職者心理として「自分の基準を正確に理解してくれている」思いが強くなるからです。
●●社に応募いただきましたが、本当に応募しますか?伺っていた〇〇さんのご希望からすると応募されないんじゃないかと思っていたんですが…
という確認工程が重要です。
【ステップ⑤】追加求人紹介
求人応募の意思表示を頂き、そこで終わってしまってはダメです。
求職者の応募基準を整理し終えたことで、リクルーティングアドバイザーに伝わっている情報とのギャップが出ているはずです。
その応募基準なら、以前は紹介していなかった●●社にも応募してほしい!
という状況が発生する可能性がある、ということ。
整理し終えた応募基準をリクルーティングアドバイザーにフィードバックします。
追加で紹介できる求人をマッチングし、求人紹介をしましょう。
ここまでやることで、初めて求人紹介に網羅性が生まれます。
他社エージェントから、うちも保有している求人に応募されてしまった!
なんてケースは少なくなるはずです。
うちはAIマッチングシステムを導入しているから、特にコンサルタントが情報整理する必要がないよ。
という方もいるかもしれません。
キャリアアドバイザーのマッチングはAI化していくが、求人紹介に必要な”ヒアリング”はなくならない
確かにAIの活用が進めば、キャリアアドバイザー業務の”マッチング業務”は効率化されます。
ただ、気を付けなければいけないことがあります。
それはインプットが正確でなければ、正確なアウトプットがされないということです。
マッチングにおいてのインプット情報は求職者からのヒアリング情報です。
ただし、ヒアリング情報は2者の影響を大きく受けます。
- 求職者:面談の中で迷い、考え、自分なりの答えに行く
- キャリアアドバイザー:ヒアリングスキルによって情報は大きく異なる
つまり、インプット情報には不確定性があるということです。
どのような高度なシステムを使っていても「本当にアウトプットが合っているか」を求職者と共に考えるスタンスが重要です。
また、「誰かに悩みを聞いてほしい」という求職者の欲求は、しばらくの間なくならないでしょう。
キャリアコンサルティングの領域です。
AIに話を聞いてもらえればそれで充分
という未来は、ちょっと想像しずらいですよね?
求職者の相談欲求に応えるには、様々なスキルに磨きをかけていく必要があります。
例えば、次のようなスキルです。
- コンサルティングスキル
- カウンセリングスキル
- コーチングスキル
”転職あっせん”とは異なるスキルです。
「求職者のキャリアに関する悩み」を根本的に解決するために必要なスキルです。
まとめ:キャリアアドバイザーは綿密な事前準備でスムーズな求人紹介を行いましょう
本日のまとめをしていきます。
求人紹介の流れ5ステップとは、次の通りです。
- 【ステップ①】応募条件の整理
- 【ステップ②】客観的情報の収集
- 【ステップ③】求人整理
- 【ステップ④】求人紹介
- 【ステップ⑤】追加求人紹介
【ステップ①】応募条件の整理は、大きく分けると次の3つです。
- 【整理①】優先順位
- 【整理②】除外条件
- 【整理③】条件の具体化
【ステップ②】客観的情報の収集では、リクルーティングアドバイザーから次の2つの情報を入手していきましょう。
- 客観的事実
- 具体的数値
【ステップ③】求人整理では、具体的に次の3ステップで進めていきます。
- 【ステップ①】求職者視点で整理
- 【ステップ②】求人属性視点で整理
- 【ステップ③】採用可能性視点で整理
【ステップ④】求人紹介を行うときのポイントは、以下の2つです。
- 【ポイント①】応募意思の確認単位
- 【ポイント②】応募基準ギャップの確認
【ステップ⑤】追加求人紹介では、まず①~④までで得られた情報をリクルーティングアドバイザーにフィードバックします。
新たな情報を元に再マッチングすることで、紹介求人の網羅性を高めていきましょう。
単なる”マッチング業務”は、今後AI化されていきます。
ただし、ヒアリングは”人”に残る可能性が高いです。
だからこそ、ヒアリングスキルを今のうちから高めておきましょう。
というお話でした。
ここまで読んでくれたあなたなら、求人紹介の流れについてイメージがわいたんじゃないでしょうか?
求人紹介がうまくいくと、次は応募書類のチェックや推薦状の作成です。
気になる方は、こちらも参考にしてみてください。
改めて、キャリアアドバイザー業務全体の流れも復習しておきたいな…
という方は、こちらの記事を参考にしてください。
≫【成約率50%超の私が教える】キャリアアドバイザー業務のノウハウ|売上を伸ばすコツを11ステップで徹底解説
最後までご覧いただき、ありがとうございました。