人材紹介に興味を持っているあなたには、こんな悩みがありませんか?
人材紹介のビジネスモデルってどうなってるの?
人材紹介のビジネスモデル上の強み・弱みってある?
強いビジネスモデルを持つ人材紹介会社の特徴ってある?
次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます
- 現役の転職エージェント管理職
- 人材業界の中で複数のビジネスモデルを体感
- 予算策定の権限を持ち、業界の内情に精通
人材紹介会社がどの様に収益を上げているかは、知っていますよね?
ただ、どのようなコストが存在し、どのように利益を捻出しているかは、分かりづらくないですか?
私も、現在の立場になるまでは、知ることのできなかった情報です。
この記事では私の実体験を踏まえて、人材紹介のビジネスモデルについての疑問に答えていきます。
人材紹介のビジネスモデル【売上ー費用=利益で解説】
”売上ー費用=利益”
この構造を掴んでおけば、どの業界のビジネスモデルも理解できる。
それぞれの要素について、詳しく解説していきます。
【ビジネスモデルの要素①】売上
人材紹介会社の売上は、求人企業からの成功報酬で成り立っている。
成功報酬の基準は、求職者を紹介し、入社に至った時点がポイント。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
≫【なんで無料なの?】転職エージェントの成功報酬の仕組みを徹底解説
【ビジネスモデルの要素②】費用
人材紹介会社にとっての費用は、次の2種類に分かれる。
- 固定費
- 変動費
内容を説明すると、次の通り。
- 固定費→使用量によって毎月変わらないコスト
- 変動費→使用量によって毎月変わるコスト
それぞれ詳しく説明していきます。
固定費
固定費の内訳は、次の3つ。
- 人件費
- 家賃
- システム利用料
具体例として、上場企業であるMS-JapanとJAC Recruitmentのコストを見てみる。
上記の2社を選んでいる理由は、人材紹介業の事業ウェイトが高い会社だから。
人材派遣業や求人広告事業などのウェイトが高い会社だと、ビジネスモデルが変わってくる。
そうすると、比較をする意味が薄くなってしまう。
上場会社2社の人件費率は、次の通り。
- MS-Japan:18.5%(FY20人件費758,928千円※/売上高4,098,556千円)
- JAC Recruitment:42.3%(FY20人件費7,775,000千円※/単体売上高18,380,000千円)
※人件費は、給与手当、賞与引当金繰入、法定福利費を含む
(MS-Japan2020年3月期有価証券報告書/JAC Recruitment2020年12月期期有価証券報告書より)
一方、他の業種の人件費率は、次の通り。
- 製造業:47.8%
- 卸売業:48.6%
- 小売業:49.3%
(2019年経済産業省企業活動基本調査より)
人件費は、人材紹介会社のメインコスト。
にも関わらず、他業界と比べると人件費率は低いことが分かる。
ただ、この人件費率の低さは上場企業だから、という理由も大きい。
上場会社2社の家賃比率は、次の通り。
- MS-Japan:13.2%(FY20地代家賃168,520千円※/経常利益2,023,209千円)
- JAC Recruitment:17.9%(FY20地代家賃969,000千円※/単体経常利益5,388,000千円)
(MS-Japan2020年3月期有価証券報告書/JAC Recruitment2020年12月期期有価証券報告書より)
一般的には、地代家賃比率は粗利の10~20%が目安と言われるので、平均値と言える。
システム利用料とは、求職者、求人者のデータ管理システムを使うための月額利用料のこと。
変動費
変動費の内訳は、次の4つ。
- 採用費
- 広告費
- 外注費
- ポータルサイト利用料
それぞれ説明をすると、次の通り。
- 採用費→新卒・中途採用を行うための求人広告費・人材紹介成功報酬費
- 広告費→HPに求職者、求人者を集客するための広告費用
- 外注費→テレアポなどの作業を外注する費用
- ポータルサイト利用料→外部の求職者、求人者データベースを利用するための費用。
中途採用に当たっては、意外にも人材紹介会社も人材紹介会社を使っている。
採用ターゲットは、主に人材紹介経験者。
なぜなら、転職市場に少ない人材だから。
上場2社の広告費率は、次の通り。
- MS-Japan:14.0%(FY20人件費574,022千円/売上高4,098,556千円)
- JAC Recruitment:3.5%(FY20人件費657,000千円※/単体売上高18,380,000千円)
(MS-Japan2020年3月期有価証券報告書/JAC Recruitment2020年12月期期有価証券報告書より)
ポータルサイト利用料は、正確には固定費と変動費の両方が含まれる。
固定費は、1サイト当たり月額数万円程度。
変動費は成約に至った場合に、成約金額の〇%という形で費用が発生する。
上場会社の場合、システム利用料やポータルサイト利用料は少ない。
なぜなら、自社開発のシステムを使っていたり、オウンドメディア集客が可能だから。
ここが、中小の人材紹介会社との大きな違い。
イメージをまとめると、次の通り。
- 上場企業→自分で仕入れて、自分で売る
- 中小企業→外部※から仕入れてきて、外部※に売る
※どちらかは自前で集客できている場合が多い
【ビジネスモデルの要素③】利益
「人材紹介会社って、無形商材だから利益率高いんでしょ?」
こんな話をよく聞きます。
実際、上場2社の経常利益率はどうなんでしょう。
- MS-Japan:49.3%(FY20経常利益2,023,209千円/売上高4,098,556千円)
- JAC Recruitment:29.3%(FY20単体経常利益5,388,000千円※/単体売上高18,380,000千円)
(MS-Japan2020年3月期有価証券報告書/JAC Recruitment2020年12月期期有価証券報告書より)
他の業種の経常利益率は、次の通り。
- 製造業:7.3%
- 卸売業:3.2%
- 小売業:3.1%
(2019年経済産業省企業活動基本調査より)
確かに、人材紹介会社の経常利益率は圧倒的に高い。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
上場会社が利益率高いのは分かったけど、中小の人材紹介会社はどうなの?
【答え】上場会社よりは営業利益率は下がる
なぜなら、原価率が高くなるから。
特にポータルサイト利用料が膨らみがち。
背景には、自社HPへの直接集客力(自前集客力)が乏しいことがある。
なぜなら、中小の人材紹介会社では、広告費に投下できる資金が少ないから。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
人材紹介のビジネスモデル上、どんな強み・弱みがあるの?
人材紹介のビジネスモデルが持つ2つの強みと弱み
人材紹介のビジネスモデルが持つ強み、弱みは次の通り。
強みと弱みは、表裏一体になっている。
単価、入金サイトの特徴
単価と入金サイトの特徴は、人材紹介会社と求人企業との契約内容から生まれる。
具体的な契約内容は、次の通り。
- 紹介料は、求職者の年収×30~35%
- 入金は、求職者が入社してから1~2か月後
入金サイトは、実際にはもっと長い。
成約から3~4か月後の入金になる。
なぜなら、入金までには”入社決定→退職→入社→入金”というリードタイムが発生するため。
在庫と仕入れの特徴
人材紹介には、製造業のような”在庫”を持つリスクはない。
一方で、常に人材の”仕入れ”続けなければいけない大変さがある。
仕入れに失敗すれば、そのまま売上に影響が出る。
売上を安定させるためには”仕入れ”を均一化させる必要がある。
具体的には、社内の”仕入れ力”を育成しておく必要がある。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
2つの弱みに対するリスクヘッジは、どうしているの?
【答え】人材派遣や求人メディアなどの事業を行う
なぜなら、人材派遣事業や求人メディア事業は人材紹介の弱みをヘッジできる特徴を持っているから。
具体的には、次の通り。
- 人材派遣→毎月安定的な収益獲得が可能なビジネスモデル
- 求人メディア事業→受注から入金のサイトが短いビジネスモデル
事実、MS-JAPANもJAC Recruitmentも直近、求人メディア事業をスタートさせている。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
強いビジネスモデルを持つ人材紹介会社の特徴ってある?
強いビジネスモデル=育成体制が整っている人材紹介会社
強いビジネスモデルを持つ人材紹介会社であるか否かを分ける要素は、育成体制にある。
なぜ育成体制が重要なのかというと、その理由は次の3つ。
- 成約率が上がる
- 採用費が下がる
- 広告費が下がる
それぞれ解説していきます。
【理由①】成約率が上がる
育成体制が整っているとことは、自分たちの”成功パターン”が分かっているということ。
つまり、全コンサルタントが高い成約率を出すための法則を分かっている状態になる。
そうなると、必然と全社の成約率は上がり、収益が最大化され、強いビジネスモデルが作れる。
【理由②】採用費が下がる
育成体制が整っていると、あえて”人材紹介経験者”を採用する必要がない。
そうなると、採用手法として、人材紹介会社を利用する必要がない。
SNSや求人媒体での未経験者層の採用ができ、採用コストを抑えることができる。
採用コストを抑えることで、利益率が上がり、強いビジネスモデルを作ることができる。
【理由③】広告費が下がる
成約率の高い組織では、同時に顧客の満足度も高くなる。
顧客満足度が高いと、リファーラルも加速していく。
リファーラルとは、求職者紹介や求人企業紹介のこと。
リファーラルが強いと、広告費に頼らない集客の割合が大きくなる。
広告費がかからない分、利益率が上がり、強いビジネスモデルを作ることができる。
さらに、リファーラルからの集客は、広告集客に比べて成約率が高い傾向にある。
まとめ:強い人材紹介のビジネスモデルを作るには育成体制がポイント
それでは、今日の内容を振り返ります。
人材紹介のビジネスモデルも、”売上ー費用=利益”で考えられる。
人材紹介会社の売上は、求人企業からの成功報酬で成り立っている。
人材紹介会社にとっての費用は、次の2種類に分かれる。
- 固定費
- 変動費
固定費の内訳は、次の3つ。
- 人件費
- 家賃
- システム利用料
変動費の内訳は、次の4つ。
- 採用費
- 広告費
- 外注費
- ポータルサイト利用料
人材紹介会社の経常利益率は、他業界に比べると圧倒的に高い。
人材紹介のビジネスモデルが持つ強み、弱みは次の通り。
強いビジネスモデルを持つ人材紹介会社であるか否かを分ける要素は、育成体制にある。
なぜ育成体制が重要なのかというと、その理由は次の3つ。
- 成約率が上がる
- 採用費が下がる
- 広告費が下がる
ここまで記事を読んだあなたなら、人材紹介のビジネスモデルのイメージが掴めてきたはず。
人材紹介に関する基礎知識をもっと学びたい
というあなたは、こちらを読んでみてください。
≫【完全網羅】転職エージェントとは?現役社員の私が基礎知識を徹底解説
リクルーティングアドバイザーやキャリアアドバイザーに関する基礎知識も学びたい
というあなたは、こちらを読んでみてください。
リクルーティングアドバイザーやキャリアアドバイザーを目指すための具体的な流れが知りたい
というあなたは、こちらを読んでみて下さい。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。