転職エージェントに興味を持っているあなたには、こんな悩みがありませんか?
転職エージェントってどんな報酬の仕組みになってるの?
転職サイトとはどこが違うの?
「非公開求人」が多いのってどんな仕組み?
次のような経験をもつ私(@taqnock)が、あなたの悩みに答えます
- 現役の転職エージェント管理職
- 予算策定権限があり、業界構造に精通
- 他社とのネットワークがあり、多くの事例を蓄積
”無料でサービスが受けられる”
なんて聞くと、「怪しい」と思うのが普通ですよね?
この記事では、なぜ転職エージェントのサービスは無料なのかの裏事情を、業界歴5年以上の私が解説していきます。
転職エージェントは求人企業から成功報酬をもらい、求職者へ無料でサービス提供をする仕組み
転職エージェントは、求職者に対しては無料でサービス提供をしている。
なぜ無料にできるかというと、求人企業から報酬を得ているため。
報酬とは、具体的には”成功報酬”。
成功報酬とは、求職者が求人企業に”入社”した成果に対する報酬のこと。
つまり、ただ求職者に求人紹介するだけではなく、入社日までサポートをすることになる。
整理すると、次の構図になる。
- 求人企業:成功報酬
- 求職者:無料
ちなみに、求職者から報酬を得ることは、法的にも規制をされている(職業安定法第32条の3)。
有料職業紹介事業者は、次に掲げる場合を除き、職業紹介に関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならない。
一 職業紹介に通常必要となる経費等を勘案して厚生労働省令で定める種類及び額の手数料を徴収する場合
二 あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表(手数料の種類、額その他手数料に関する事項を定めた表をいう。)に基づき手数料を徴収する場合
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
じゃあ、入社さえさせてしまえば、それでサポート終了ってこと?
【答え】入社後もフォローする。
なぜなら、多くの転職エージェントでは、早期退職に対する”返金規定”を設けているから。
規定内容については、各エージェントによって異なる。
規定の一例としては、次の通り。
- 1か月未満の早期退職:報酬の80%を返金
- 3か月未満の早期退職:報酬の50%を返金
- 6か月未満の早期退職:報酬の10%を返金
最悪なパターンは、入社数日で辞めてしまった場合。
求人企業との間でトラブルとなり、未入金になるケースもある。
なぜ未入金になるかというと、採用担当者のこんな主張が理由。
入社数日で退職するなんて、紹介したうちに入らないでしょ…
揉めた上、結果的には、支払われないケースも多い。
転職エージェントの立場としては、つらいところ…。
契約上は支払うべきものではあるが、紹介先企業の感情面から支払いにYESと言ってもらえない。
中には、弁護士を通じて…なんてケースも経験がある。
だからこそ、転職エージェントは入社後も求職者をしっかりフォローする。
ちなみに、厚生労働省としても、返戻規定を設けることが好ましいとしている。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
転職サイトとは、どこが違うの?
転職エージェントと転職サイトで違う報酬の仕組み【成功報酬or前払い】
転職エージェントと転職サイトの報酬体系の違いは、次の通り。
- 転職エージェント→成功報酬
- 転職サイト→前払い
転職サイトでは、求人掲載前のタイミングで料金を支払う。
一例として、大手転職サイト各社の掲載料は、次の通り。
- リクナビNEXT:20万円~180万円前後
- doda:25万円~150万円前後
- マイナビ転職:20万円~120万円前後
価格差が出る要因は、次の通り。
- 原稿サイズ
- 掲載期間
- 掲載エリア
- 掲載位置
- 写真掲載数
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
転職エージェントと転職サイトって、どう使い分けるの?
【答え】3つの要素のバランスを考えて使い分ける
3つの要素とは次の通り。
- 採用ターゲット
- 採用コスト
- 採用緊急度
採用ターゲットは、採用レイヤーや採用スペックなどを考慮に入れる。
採用レイヤーとは、どの層(職階)の求職者を採用したいのか。
採用スペックとは、どの程度のスキル・経験・資格を持つ求職者を採用したいのか。
例えば、採用コストなら、次のように考える。
- 掲載料<紹介料→転職サイトを先に使う
- 掲載料=紹介料→転職エージェントを先に使う
- 掲載料>紹介料→転職エージェントを先に使う
転職サイトを先に使うことで、採用コストを抑えられる場合もある。
コストを抑えられるかどうかは、その他の2要素も影響する。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
報酬面以外には、どんな違いがある?
【答え】”あっせん”をするかどうかの違いがある
具体的には、求職者対応の違い。
- 転職エージェント→転職エージェントが応募者対応を行う
- 転職サイト→求人企業が応募者対応を行う
図解すると、次の通り。
【転職エージェント】
【転職サイト】
転職エージェントは、求職者を求人企業のリクエストに合わせてスクリーニングしている。
それにより、求人企業に2つのメリットが生まれる。
- 応募者の初期対応をしなくてよくなる
- 採用ニーズに近い候補者のみ面接ができる
この2つのメリットが、紹介料に転嫁されている。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問も感じますよね?
何で「非公開求人」が多いの?
転職エージェントが”非公開求人”を量産する3つの理由【マーケティングの仕組み】
転職エージェントの「弊社の非公開求人は〇%です!」とアピール。
よく見かけますよね?
「だから、うちに求職者登録してね」というのがメインの趣旨。
ただ、それ以外にも非公開求人が多いのには理由がある。
その理由は、次の3つ。
- 直接応募の防止
- マーケティング戦略
- 求人企業の人事戦略
それぞれ解説していきます。
【理由①】直接応募の防止
求人企業の社名を出すと、求職者は求人企業に直接応募をしてしまう。
そうすると、転職エージェントとしては紹介料をもらえない。
つまり、”無料転職サイト”状態になってしまうということ。
だから、社名を非公開にする。
【理由②】マーケティング戦略
”非公開求人”を量産することにより、求職者とのタッチポイントが増える。
具体的には、Googleなどの検索サイトやindeedなどのクローリングサイトの検索にヒットするようになる。
つまり、”非公開求人”が転職エージェントの求職者集客の導線になっているということ。
なので、残念ながらネット上には”実は募集終了している非公開求人”も氾濫している。
悪意の有無の違いはあれど、集客を増やす目的のためには、非公開求人の”量”が重要になることが背景にある。
【理由③】求人企業の人事戦略
いわゆる”コンフィデンシャル案件”であるケース。
つまり、求人企業の社内外にバレてはまずい重要ポジションの採用を行うケース。
具体的には、社名非公開とし、応募意思のある方のみに社名開示をしていく流れ。
その秘匿性の高さ故、WEB上にも掲載されることはない。
ヘッドハンティングでは多いケースだが、転職エージェントでは実はレアケース。
ただ、世間的にはコンフィデンシャル案件の方が”非公開求人”のイメージに合っていますよね?
世間とのイメージのギャップがある。
ここまで読んだあなたは、次のような疑問を感じますよね?
じゃあ、逆に何で公開求人があるの?
【答え】公開することでマーケティング効果があるから。
つまり、ブランディング効果のある求人が公開されているということ。
具体的には、公開求人は上場企業や大企業の求人が中心。
社名公開をすることで、求職者や求人者に対して、次のような訴求をする。
「うちは、こんな有名企業と取引があるから安心してくださいね」
まとめ:転職エージェントの成功報酬の仕組みは求人企業ベース【=マーケティングの軸も求人企業にある】
それでは、今日の内容を振り返ります。
転職エージェントは、求職者に対しては無料でサービス提供をしている。
なぜ無料にできるかというと、求人企業から報酬を得ているため。
- 求人企業:成功報酬
- 求職者:無料
転職エージェントと転職サイトの報酬体系の違いは、次の通り。
- 転職エージェント→成功報酬
- 転職サイト→前払い
転職エージェントに非公開求人が多い理由は、次の3つ。
- 直接応募の防止
- マーケティング戦略
- 求人企業の人事戦略
ここまで記事を読んだあなたなら、転職エージェントの報酬の仕組みを理解できてきたはず。
人材紹介に関する基礎知識をもっと学びたい
というあなたは、こちらを読んでみてください。
≫【完全網羅】転職エージェントとは?現役社員の私が基礎知識を徹底解説
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。